妄想劇場・流れ雲のブログ

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妄想劇場・森羅万象







一人の道 茶木みやこ(元ピンク・ピクルス)


円谷幸吉さんの「もう走れません疲れました」と言う遺書
に感銘しました。 円谷幸吉の遺書を参考に作った曲である。


50年前に28歳の若さで亡くなった「円谷幸吉」さんと言う
マラソン選手です。人間性と優しさ、努力の人だと聞いて
います。


1964年東京オリンピックで銅メダル獲得後、周囲の期待に
悩む円谷の気持ちが歌われています。


(ピンク・ピクルス)


1970年、同志社女子大学在学中、中学より同級生だった
茶木みやこ(1950年生まれ、と小林京子(1951年生まれ)
により、フォークデュオグループ「ピンク・ピクルス」を結成した。


グループ名の由来は、京都にちなんで、「柴漬け」の意味。
名付け親は諸口あきら。


ピンク・ピクルスは、一年間限定での活動だったが、
1970年から72年の2年間のみの活動で解散しました。
本曲が反響を呼んだのは1972年の解散後だった。


(追 記)
オリジナル盤では、曲の冒頭に1964年東京オリンピックの
マラソンの実況録音(円谷が2位で国立競技場に入り、
イギリスのベイジル・ヒートリーと2位争いを演じた場面)
が収録されているが、


後にCDとなって再発売されたアルバム『FOLK FLAVOR』
においては、実況録音の部分の著作権の問題により、
本曲のみオリジナルとは別テイクのものに差し替え
られています。


父上様母上様 幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって
走れません。 何卒 お許し下さい。


・・・・遺書は様々な反響を呼んだ。・・・
川端康成は「千万言も尽くせぬ哀切」と表現し、
三島由紀夫は「傷つきやすい、雄々しい、
美しい自尊心による自殺」と書いた。


ご冥福を心よりお祈りしています。・…





歌:ピンク・ピクルス
作詞:作曲:今江真三郎


ある日走った その後で
僕は静かに 考えた
誰のために 走るのか
若い力を すり減らし


雨の降る日も 風の日も
―人の世界を 突っ走る
何のために 進むのか
痛い足を がまんして






厚生労働省の定義によると、
「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流を
ほとんどせずに、 6か月以上続けて自宅にひきこもって
いる状態」を「ひきこもり」と呼ぶ。


ひきこもりは様々な要因が背景となって生じる症状の一つ
であり、単一の疾患や障害ではない。


都内に住むA君は、中学2年の夏休みから、時々トイレ
にこもるようになりました。


最初は1時間ほどを過ごす程度でしたが、徐々に時間が
延びていきました。


あの狭いところで何をしているのか、どうして出てこないのか、
いくら母親が理由を尋ねても答えません。


やがて本やパソコンをトイレに持ち込むようになり、一日の
半分以上をあの空間で過ごすようになりました。


母親がトイレのドアをノックしても返答さえありません。
怒った父親がトイレの前で大声を出したり、トイレの電気を
消したりもしました。


それでも、反応はなく、根負けした両親があきらめて就寝した
後に、トイレから出てきてテレビを見たり、コンビニに行ったり、
冷蔵庫にあるものを食べたりするようになりました。


この状況は、夏休みが終わり、2学期が始まっても変わり
ませんでした。日中はトイレにこもり、学校にも行こう
としません。


業を煮やした両親が、たまたまトイレから出てきたA君を
捕まえて、力づくで、クリニックに連れてきました。


無理やり連れてこられたにもかかわらず、A君は興奮する
わけでもなく、ふてくされるわけでもなく、静かに待合室で
座っていました。


診察室に入ってくると、憔悴しょうすい した様子で口数は
少ないながら、心の中を話し出しました。


「一人でいたい。学校も家も疲れる」中学生らしい言葉遣いで、
私が理解できる話を始めました。


A君は父親の勧めで剣道部に入っていました。
夏休みに入ってすぐの合宿で、苦手な先輩と同室になって
しまいました。


その先輩は、下級生から恐れられており、おとなしいタイプの
A君は部屋にいる間、いつもびくびくしていました。


合宿中に過呼吸発作を


やがて、合宿3日目の夜、布団に入った直後に動悸どうき
がして、呼吸が苦しくなり、顧問の先生の指示で救急病院
に行くことになりました。


心電図などの検査で異常は見つからず、医師からは、精神的
なことからくる過呼吸発作と診断されました。


合宿所に迎えに来た母親と一緒に帰宅しましたが、それ以来、
A君は新しい家庭内のルールに従って、生活をするよう
になりました。


元々、心配性で口うるさい母親です。
今回の件がきっかけで、その傾向がますます強くなりました。


発作の症状が出ても、すぐに気づけるようにと、A君は自分
の部屋で寝ることを禁じられました。両親に挟まれて、
川の字で寝るようになりました。


自分の部屋にいる時にドアを閉めていると「いつも開けて
おくように」と命じられました。勉強をしていても本を
読んでいても、「何しているの? 大丈夫なの?」としょっちゅう
部屋に入って、干渉してくるようになったそうです。


一方の父親は他人への支配欲が強く、高圧的な性格でした。
自分自身が文武両道を志していたことで、息子に対しても
同じことを求め、幼稚園の頃から剣道、野球、合唱、そろばん
を習わせ、


小学校に入るとバイオリン、さらに学習塾もスケジュールに
加わりました。


進学する中学校は父親が決め、部活選択の際にも「もちろん
剣道部に入るように」と、本来は生徒自身が書くはずの
入部届を代わりに記入したそうです。


まだ中学生なのに、A君は「父親には何を言っても無駄」
と諦念し、自分の意見を言うことはありませんでした。


「何を言っても無駄だし、面倒くさいし……」さらに、両親の
夫婦仲も決して良くありませんでした。


母親は自分の心配事を夫がとりあってくれないことを不満
に感じる一方、父親は妻のあまりに細かい訴えにうんざりし、
コミュニケーションを避けて、仕事と趣味にエネルギーを
注ぐようになっていました。


そんな両親でも、一人息子の教育方針だけは一致していました。
A君が父親には言えない不満を母親に言おうとすると、


いつも母親が「あなたのためだから。絶対に役に立つのだから」
と言葉をさえぎって、黙って従わせてきました。


そんな家庭で育ったことで、A君は学校でも、友達と一緒の
ときにも、ほとんど自己主張をすることはなくなっていました。


先生や友達に何か頼まれると断ることができず、面倒な
役回りを押しつけられることもしばしば。


いつもニコニコしているため、A君が内心、「本当はやりたく
ない」と思っていても、誰も気付きません。


診察では、A君の本当の気持ちを理解するために、何回か
にわたって、話を聞くことにしました。


ある日、私はトイレにこもるようになったことについて尋ね
てみました。


A君の答えは、「とにかく一人になりたい。自分の部屋には
鍵がないから、鍵がかけられるトイレしか安心できる場所
はない」と話しました。


そして、「そんなことを親に言うのも面倒くさい」と付け加えました。


話を聞いていると、A君のつらさ、いらだちがよくわかりました。
そして、「トイレに逃げ込まないで、自分の気持ちをお父さんや
お母さんに伝えることも大切なのでは」と伝えてみました。


A君は「両親と言い合いをしたくない。言ったって無駄だし、
面倒くさいし。学校だって同じ」とつぶやきました。


それっきり、A君は来院しなくなりました。・…


author:関谷秀子 (精神科医) (つづく)










「……あら?」
ふと、彼女はオラの顔を注視した。
(やば……なんか問題あったか?)


オラは目の前の作業工程を頭の中で確認する。
不備は……ない。


だが彼女は、ツカツカとヒールの音を鳴らせながら、
オラの方に近付いてきた。


そしてオラの横に辿り着いた彼女は、オラの顔を覗きこむ。
「……な、なんですか?」
「………」


彼女は何も言わない。ただ黒い瞳を、オラに向けていた。
見ていると、何だか吸い込まれそうになる……


・・・・と、その時……「しん…様?」
「……はい?」


女性は、オラにそう話しかけて来た。
その呼び方をする人は、オラの知る限り一人しかいない


……それは「……もしかして……あい、ちゃん?」
すると彼女は、それまでの凛々しい態度を一変させ、
その場で飛び跳ねてはしゃぎ始めた。


「やっぱりそうだ!――そうです!あいです!
酢乙女あいです!お久しぶりです!しん様!」


……工場内には、どよめきが走った。・・・


「はい、あいちゃん」
休憩所の中で、オラはあいちゃんにコーヒーを手渡す。
「ありがとう、しん様」


「このコーヒー、スーパーの特売品だから、あいちゃんの
口に合うか分かんないけど……こんなものでゴメンね」
するとあいちゃんは、首を振って笑顔を向けて来た。


「そんなことないです。しん様が入れてくれたものですもの。
それだけで心が満たされます」
そしてあいちゃんは、コーヒーをすする。


「……うん。悪くありません」
「ありがとう、あいちゃん。……ところで、そのしん様って
呼び方、どうにかならないかな……」


「……嫌、ですか?」
「嫌というか……なんか、恥ずかしいし……」


「………」しばらく考え込んだあいちゃんは、口を開いた。
「分かりました。今日からは、しんのすけさんとお呼びします」


「助かるよ……」彼女は、微笑んでいた。
そんな彼女に、オラも微笑みを返した。


それにしても、このようなところでしん様……失礼、
しんのすけさんと再会するとは、夢にも思いませんでした」


「オラもだよ。まさか、この工場の元請けがあいちゃんの
会社だったなんて……しかも、あいちゃんが視察に来る
とは思いもしなかったよ。世間って狭いね」


「そうですわね。……でも、だからこそ人生とは
楽しいのかもしれません」
あいちゃんとオラは、感慨深く話していた。


「……でも、あいちゃんは変わらないね。
とても凛々しくて、カッコいいよ」


「そんな、しんのすけさん……それを言うなら、
しんのすけさんもですよ」


「オラは……そんなことないよ。だって、昔みたいにバカ
やってるわけじゃないしね。ガッカリしたでしょ?」


「いいえ!そんなことありません!」
あいちゃんは、語尾を強くしてオラの方に体を向けた。


「確かに、今のしんのすけさんは変わられました。
でも、それはいいことなんです。人は、時間の流れと共に、
年齢を重ね、体を変化させていきます。


ですが、心は違います。心だけは、成長するか否かは、
その人自身にかかってます。若くして立派な心を持つ者
もいれば、歳だけを重ねて、いつまでも心を成長させない人
もいます。


……しんのすけさんは、きっと前者です。しんのすけさんは、
歳相応に心も成長しているんです。
そんなしんのすけさんは、素敵だと思います……」


「あいちゃん……ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ。
そんな自覚はないけどね」


「いいえ。しんのすけさんは、やっぱりしんのすけさんですよ。
行動が変わっても、それは変わっていません」
あいちゃんは、微笑みながらそう言ってくれた。


そんな彼女の言葉に、どこか救われた気がした。


父ちゃんと母ちゃんがいなくなってから、オラはしっかり
しようと思った。オラがしっかりしないと、ひまわりを育てる
ことが出来ない。そう思っていた。


それでも、オラの中には不安があった。自分はきちんと
出来ているだろうか。大人として、ひまわりの手本のと
なれるだけの人になっているだろうか。そんなこと
を考えていた。


しかし、あいちゃんは、オラのそんな不安を払拭してくれた。
それが、とても嬉しかった。


「ところでしんのすけさん。あなたは確か、中小企業で働いて
いたのではありませんか?どうしてこの工場で……」


「ええと……それはね……」


「……あ、もしかして言いにくい事情がおありなんですか?
それなら、無理に言う必要はありません」


「……そ、そう?ありがとう、あいちゃ」
「こちらで、調べますので……」


「へ?」
「・・・・黒磯」
あいちゃんの呼び掛けに、天井からスーツ姿の黒磯さんが
降りて来た。


「・・・・!?」黒磯さんは、白髪になっていた。
色々と苦労が多いのかもしれない。それでも、その白髪頭は、
まるで歴戦の戦士のように見える。なんというか、渋い。


黒磯さんは、オラに深々と一礼した。
「……お久しぶりです、しんのすけさん。お元気でなによりです」
「あ、ああ……黒磯さんも……相変わらずだね……」


「黒磯。至急調べなさい」
「・・・・御意」


あいちゃんの言葉に、黒磯さんは再び天井にロープを投げ、
スルスルと昇って行った。
……色々と、レベルアップをしているようだ。


それから十数分後……
「・・・・戻りました、お嬢様……」
今度は床下から這い出てきた黒磯さん。
何でもありのようだ……(ていうか、早すぎるだろ……)


そして黒磯さんは、一枚の紙をあいちゃんに渡す。
それを見たあいちゃんは、目を伏せた。


「……なるほど……こんなことが……
しんのすけさんの心中、お察しします」
「察する程でもないって。特に何も考えてなかったからね」


「それでも、人のために行動するその御気持ち……
あいは、感動しました!」
あいちゃんは紙を抱き締めながら、天を仰いだ。


「そんな、大袈裟だなぁ……」


するとあいちゃんは、視線をオラに戻す。
そして、優しい笑みを浮かべて、切り出した。


しんのすけさん、あなたは、今の職場で働いていく
おつもりですか?」


「う~ん……まあ、僕がいないと困るだろうし……。
それより、なんで?」


「……実は、酢乙女グループの本社ビルで、新しく1名の
雇用を募集しているのです」


「酢乙女グループの?」
「そうです。しんのすけさん。そこに、応募してみませんか?」


「……え?」
「給料は今よりはいいはずです。少々体力を使いますけど…」
「いやいや、それはダメだよ」


「どうしてですか?」
「だって、なんかそれって、卑怯じゃないか。あいちゃんの
コネで入るみたいな感じで……」
そう言うと、あいちゃんはフッと笑みを浮かべた。


「しんのすけさんなら、そう言うと思いました。……
ですが、その心配には及びませんわ。


その募集自体は、一般に正規に知らせていること。それに、
私がするのは、あくまでもそれを紹介しただけにすぎません。
結局採用されるかどうかは、しんのすけさん次第なんですよ」


「あ、そういうこと……」
そしてあいちゃんは、表情を落とした。
「ごめんなさい、しんのすけさん。本当はすぐにでも
採用したいのですが……」


「分かってるって。あいちゃんは、そこの重役だしね。
知り合いだからって、重要な仕事を無条件に任せるなんて
しちゃいけないよ。


・・・・そうだな。でも、せっかくあいちゃんが勧めてくれたから、
ダメ元で受けてみるよ」


「……はい!頑張ってください!あいは、信じております!」








日本を代表する版画家、棟方志功(むなかたしこう)は、
若い頃から「絵バカ」と呼ばれ、それ以外のことはほとんど
できませんでした。


スポーツなどをすることもなく、ひどい近視であったため、
唯一の健康法といえば、毎朝6時に起きて、庭の芝生の
上を裸足で歩くことだったそうです。


芝生の上を裸足で歩く志功のことを思いやり、
奥さんは、日常、あることをしていました


奥さんは彼より30分早く起きて、ピンセットで芝の中の
雑草を抜き取り、異物を拾って捨てていました。


それはもちろん、夫が転んだり、足を怪我したりしないよう
にするためです。


そして、夫が目覚めて芝生に下りてくるころには、
知らぬ顔をして家の中で炊事をしています。


毎朝早く起きて芝の手入れをしていることを知れば、
夫が気を遣ってしまうと考えたからです。


ところが、ある日志功はその事実を知ってしまいます。


しかし、志功は心の中で感謝しながらも、妻が芝の手入れ
をしていることを知らない振りを続けました。


奥さんと同じように、志功も妻に余計な心の負担を
与えたくなかったのです。・…






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