妄想劇場・流れ雲のブログ

趣味の、自己満ブログです。人生は、振り返ることは出来ても、後戻りは出来ない…掲載内容に問題がある場合は、お手数ですが ご連絡下さい。 迅速に対応させていただきます。

妄想劇場・THEライフ







歌:秋元順子
作詞:作曲:因幡晃


貴方の愛した ひとの名前は
あの夏の日と共に 忘れたでしょう
いつも言われた ふたりの影には
愛がみえると










完全無欠の詐欺会社


詐欺師が主人公の映画って人気が出ます。
でも世間には、詐欺師に会ったことがない人のほうが多い
と思います。  


街金にはよく詐欺師が来ます。
ぼくからお金をだまし取ろうと思っているパターンもあるし、
借りたお金を使って詐欺をしようというパターンもあります。  


「このお金を使ってこんな風に人をだまして大金ゲット
するので、お金を貸してください」と言われたら、
当然貸しません。  


街金の免許がなくなっちゃうから。  


でもお金を貸した後になって 「コイツ詐欺師じゃねーか!」
とわかることはあります。  


そんなときはどうするか。 やるべきことはひとつです。  
ほかの債務者と同じように粛々と回収するだけです。


ぼくたちは警察じゃないので、詐欺師を捕まえるのは
仕事じゃありません。 成敗するのは仕事じゃありません。


ぼくが貸したお金を全力で回収するのが仕事です。


詐欺師だろうとなんだろうと、担保をかたに、淡々と
回収を進めます。    


でももし、持ち込まれた話の全部が嘘だったら。
それでももちろん回収しますが、ちょっと荒っぽいこと
をしなければならない場合も出てきます


(あくまでも法律の範囲内です)。    


Fさんは若手の青年実業家。 都内某所で広告会社を経営
していました。


社員は20〜30代の若い人たちばかりだけど、日本を代表
するような大企業数社と取引があって、 納品した商品
のサンプルが社内にずらっと並んでいます。


特殊な素材を使ったおしゃれなデザインのものばかり。
まさに、絵に描いたような都会の会社です。  


今まで街金をやってきて、成金のぴかぴかおじさんは
何人も見てきましたが、Fさんは、そういうのとは違います。  


大手都市銀行とも取引できているのに、なんで街金に?


「A銀行から1億円借りていて、B銀行からは3000万円
借りてるんで、枠がいっぱいなんです。


そこで5000万円ほどお願いできないかと思って」  
確かに急激に伸びた業績と規模から考えると、
1億3000万円程度の借入では、


これから会社を回していくのは苦しい、でも資金調達は
簡単にはいかず、成長する会社はどこでもこの苦労
を経験しているはずです。    


Fさんは渋谷区にあるおしゃれなマンション住まいだけど、
賃貸なので担保にならない。


そこで売掛金を担保にしようと請求書や納品書を見せて
もらうと、 どれもこれも大手企業だらけ。


さらに通帳を見ても、入金の相手先には、これでもか
とばかり有名企業が並んでいます。  


もしかしたら、Fさんは日本の中心にいる人なのかも
しれない。  


こんなにちゃんとした債務者はめったにいません。  


これなら大丈夫。日本がある限り取引先はなくならないし、
貸したお金は回収できる。売掛金を担保に公正証書も
作成して融資実行。  


念のため、Fさんの保有する会社の株の大半も名義変更
しました。Fさんが完済したら返すと約束し、渋々ですが
応じさせました。


1ヵ月だけジャンプさせてください!  


そして1ヵ月後。利払日。入金がありません。
「あれ? Fさん、どうしたの?」
「ああ、すみません。1ヵ月だけジャンプさせてください」


「何かあった?」 「ちょっと入金が遅れていて。
でも、これこれこうで、これとこれが揃うとこことここが
入金になります。だから大丈夫です」  


完璧です。何の矛盾もありません。
お金の計算が苦手な債務者だったら、
こんな返事はできません。


「そうか、わかった。大変かもしれないけど、がんばって」
「ありがとうございます。


ところで、お時間ありますか?食事でもどうですか?」
「え。お肉食べたい」  


Fさんの会社にはタレントの卵か元タレントかはわかり
ませんが、きれいな女の子も出入りしていて、彼女たち
を連れて広尾のレストランで優雅なひととき。


会計は全部Fさん。 「テツクルさんてすごーい!」  


きれいな女の子たちにおだてられて、なんていい気分なの。    
ただ、ぼくはころんでも街金です。  


どんなにいい気分にさせてもらっても、債務者のことを
甘やかすわけにはいかない。  


支払いが遅れてからは週イチペースでFさんの会社
に行って状況確認をします。


「Fさん、これ大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。これこれこういうわけで、これとこれが
揃う(以下略)」  完璧です。問題ありません。


「わかった。がんばってね」  


だいたい、会社が危なくなってくると従業員が減ってきたり、
代わりにガラの悪い人が出入りしだしたり、


目に見える変化があるものですが、Fさんの会社には
そういったこともありません。    


そしてまた1ヵ月後。利払日。入金がありません。


「また入ってないんだけど」
「すいません、もう1ヵ月だけ待ってもらえますか。
そうすれば、これとこれが揃って(以下略)」


「それ前回も聞いてるんだけど」
「どうもタイミングが悪くて」
「ちょっと、そっち行くから話させて」    


Fさんは、売掛先から届いた支払いが遅れている理由
などが書かれたメールや資料を見せてくれました。


不自然なものは見当たらなかったけど、さすがに2ヶ月も
遅れるのは何かあるはず。    


ぼくは、知り合いの広告代理店の社員に、Fさんから
預かった大手企業が発行した発注書のコピーを渡し、
裏取りをしてもらいました。


「テツクルさん、こんなの発注したことないそうです。
あと、押されてる印鑑も偽造だって言ってましたよ」  


これは? これは? と次々Fさんから預かった書類の
裏取りをさせましたが、全部偽造書類。  


おそらく、通帳にあった有名企業からの入金も、
自作自演だったんでしょう。


自分のお金を有名企業の名で自分の口座に振り込む。    


Fさんがぼく以外の街金や個人投資家から借金をして
いるのは把握していました。


こうなったら、誰よりも先に回収しなければなりません。








傍聴席を号泣させる、巻き込む話術・演技力


裁判長の人柄が現れるのは、判決言い渡し後の
説諭(悪事をしないよう被告人に諭すこと)にあると思う。


説諭をするかどうかは裁判長にゆだねられ、
まったくしない人もいれば、必ずする人、


事件によってしたりしなかったりの人といろいろだが、
するほうがいいと思っている。説諭には再犯防止の意味合い
が強いからだ。


かける言葉は以下のようなものが代表的である。


「あなたには待っている人がいるのですから、刑務所で
しっかり反省し、罪を滅ぼし社会復帰したら、二度と
犯罪を犯してここに戻ってくることのないようにしてください」


実刑判決を受けた直後、気落ちしている被告人に、
自分には親や家族がいるんだと希望の光を与える
ことばだろう。


孤独な被告人にはこうだ。


「刑務所を出てからも人生は続きます。あなたには先が
あるのですから、大変なこともあるでしょうが、


ヤケにならず、自分を大切に生きなければだめですよ」





「奥さんの墓を守っていくこと。それは、あなたにしかできません」


妻の自殺をほう助した罪で逮捕された初老の男性に執行
猶予付き判決を下した後、ぐっと身を乗り出し、次のように
語りかけたのだ。


「執行猶予を付けたのは、あなたには外の世界でするべき
ことがあると考えたからです。


奥さんの墓を守っていくこと。


それは、あなたにしかできません」 温かいことばをもらい、
涙を流して礼を述べる被告人。


この人が悪事を働くことは二度とないだろうと確信できた。





検察官は証拠が整っていていればほぼ確実に有罪判決
を得ることができるので、弁護人のように熱弁をふるったり
する必要はない。


だが、執行猶予も絶対に与えたくないと意気込むのか、
再犯防止意識が高いゆえなのか、


性犯罪や覚せい剤使用事件などでは、被告人質問で暴走
気味の追い込み方をするときがある。


典型的なのは、性犯罪を担当する女性検察官が、
全女性を代表するかのような口ぶりで、被告人の
犯罪行為を責め立てる場合。


見学(傍聴席)の女子高生たちまで利用するのを聴いた
ときは、目的のためには手段を選ばぬオフェンス力に
舌を巻いたものだ。


「あなたね、さっきから『もうしません』と繰り返しているけど、
前回捕まったときも同じこと言ってるでしょう。


ふー(タメ息)。


今日は傍聴席に学生の方がたくさんきています。
みんな、あなたをにらんでいますよ。
こんな事件起こして恥ずかしくないんですか! 


もういいです、終わります」


反論できない相手をいたぶり、恥をかかせるわけだが、
同じ検察官が別の事件では上品な口調で被告人に
接しているのを見るとプロだなと言いたくなる。


検察官の狙いは、被告人をカッとさせて本音を引き出すこと、


また、 矢継ぎ早の質問で被告人の言い分が矛盾して
いることを明らかにすることだ。


傍聴を続けていると、しょっちゅう見かける検察官が
いるけれど、いったい本人がどんな人なのか、


想像がつかない。 …



時は絶えず流れ、今、微笑む花も、明日には枯れる・…
しかし、枯れない花はないが、咲かない花はある......。





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