妄想劇場・流れ雲のブログ

趣味の、自己満ブログです。人生は、振り返ることは出来ても、後戻りは出来ない…掲載内容に問題がある場合は、お手数ですが ご連絡下さい。 迅速に対応させていただきます。

妄想劇場・歌物語









歌:優里
作詞:作曲:優里



多分たぶん、私わたしじゃなくていいね
余裕よゆうのない二人ふたりだったし
気付きづけば喧嘩けんかばっかりしてさ
ごめんね



ずっと話はなそうと思おもってた
きっと私わたしたち合あわないね
二人ふたりきりしかいない部屋へやでさ
貴方あなたばかり話はなしていたよね



もしいつか何処どこかで会あえたら
今日きょうの事ことを笑わらってくれるかな
理由りゆうもちゃんと話はなせないけれど
貴方あなたが眠ねむった後あとに泣なくのは嫌いや



シンガーソングライターの優里が歌う「ドライフラワー」
のストリーミング累計再生数が、2億回を突破した。


2020年10月に配信限定でリリースされた優里のメジャー
第2弾となるシングル。


SNSで若い世代を中心にじわじわと支持を広げ、
YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」への出演をきっかけ
に一気に楽曲が拡散。


Billboard JAPAN ストリーミング・ソング・チャートや、
オリコン週間ストリーミングランキング、
iTunes総合チャートなどで軒並み1位を獲得し、
驚異の42冠に輝いた。


その後もロングヒットを続けながら、リリース13週目で
ストリーミングでの累計再生数が1億回を記録。
男性ソロアーティストとしては歴代最速、 Japanチャートで
史上3位の快挙に、が沸いたのも記憶に新しい。


メジャーデビューからわずか9ヶ月足らず。その勢いはとどまる
ところを知らない。  


「ドライフラワー」は優里が2019年12月にリリースした自身
初のオリジナル曲「かくれんぼ」のアフターストーリー
となっている。


ある二人が経験する別れを「かくれんぼ」では男性目線で、
「ドライフラワー」では女性目線で描き、両者のすれ違う心情
をリアリティのある歌詞で綴ったロックバラードだ。


歌詞に目を向けると〈ずっと話そうと思ってた  きっと私たち
合わないね〉〈もう顔も見たくないからさ 変に連絡してこない
でほしい〉と気丈に振る舞いながら、


〈声も顔も不器用なとこも 全部全部嫌いじゃないの〉と、
時折断ち切りがたい未練に襲われる心の揺らぎを見事
に表現。


終わった恋を“ドライフラワー”に例える表現力の巧みさに
心を掴まれた人が多かったことだろう。


「過去の恋愛を思い出して泣ける」
「聴くたびに切なくなる」と瞬く間に共感の声が広がり、
大ヒットへとつながったかたちだ。


インディーズ時代を含めこれまでにリリースした楽曲は6曲。
そのほとんどが2カ月に1度のハイペースで発表されている。


2019年12月に「かくれんぼ」、2020年2月に「かごめ」、
メジャーデビュー第1弾の「ピーターパン」を8月に発表して
以降は、 「ドライフラワー」「インフィニティ」「桜晴」と怒涛の
リリースラッシュだ。


それぞれの楽曲を見ていくと「ピーターパン」は自分の人生
をまっすぐに生きたいという決意表明にも似たアグレッシブ
なギターロックで、オリンピックにも出場しマラソン3000m、
5000mの日本記録保持者である


大迫傑選手が出演するディップ株式会社の新企業CM曲
として今年の4月1日からオンエアされていることも大きな
話題となっている。


「インフィニティ」はTVアニメ『SK∞ エスケーエイト』
エンディングテーマのために書き下ろした楽曲で、 仲間や
友情をテーマにした心地よいグルーブのサーフミュージック
を感じさせる仕上がり。


「桜晴」は自身初の卒業ソングとなるノスタルジックな
ピアノバラードといずれも良曲揃いだ。


「かくれんぼ」や「ドライフラワー」の印象から失恋ソングの
代表と見られがちだが、決してそんなことはない。


むしろ幼少期から聞いていたという洋楽の影響を色濃く
残しながら、 バラードからサーフミュージック、アグレッシブな
ギターロックと楽曲ごとに表情を変える変幻自在ぶりは、
彼の音楽性の高さを感じるのに十分だろう。


また力強くありながら繊細さを感じさせる優里の歌声は、
歌詞の中の情景を鮮やかに浮かび上がらせ、聴く者の
胸に迫る。


「ドライフラワー」だけでなく、「かくれんぼ」もストリーミング
累計再生数が1億回を突破。


俗に「かくれんぼ現象」と呼ばれるTikTokなどでの拡散も
続いており、 さらなるヒットにも期待が高まる。


新世代を代表するシンガーとして現在進行形でチャートを
席巻する優里が、これからどのような進化を遂げるのか、
引き続き注目していきたい。 ・・・










北海道に帰省して二日目の早朝、家族はまだ夢の中だが、
僕は一睡もせずにお酒を飲んで、気合いを入れていた。
飲んでも飲んでも酔いが回ることはなかった。


ついにその時がきた。僕は寝ている母を少し早めに起こした。
「お母さん、起きて。話があるんだ」
「なにー? 後にしてよー」母はまだ寝ていたいと言った。


でも二人きりで話せるのは今しかないかもしれない。
「大事な話なの」母は何か嫌な予感がしたのだろう。
むくっと起き上がり、 怪訝そうな顔で僕を見つめた。


「なに? なんか怖いんだけど」
母と二人でリビングの食卓の椅子に向い合わせで座った。


「あまりショックを受けないで欲しいんだけど……」
「え、なに。学校辞めたの?」
「ううん、辞めてないよ」
「じゃあなに? 誰か妊娠させた?」
「誰も妊娠させてないよ!」


「じゃあなによ。早く言って。こっちはドキドキするんだから」
「あのー……、僕は、男の人が好きなの、 昔からなんだけど。
それをちゃんと伝えておきたくて。


僕はいわゆる……ゲイなの。男の人しか好きになれない。
だからって、病院に連れてっても無駄だよ、治るものじゃないし、
治すものでもないんだからね。


でも僕はそれでいいと、 最近やっと思えてきたの。
自分を受け入れることができて、今は幸せ。
それを伝えておこうと思って……」


母は大きなため息をついた。両ひじをテーブルに突き、
両手で顔を覆った。「頭を抱える」とはまさにこの事だと思った。


長い沈黙が続き、 その間、母は何度も大きなため息を
ついていた。僕からは何も言えなかった。とりあえず母の
出方を待つしかないように思えたからだ。


母はうつむいたまま、僕と目を合わせようとはせずに
口を開いた。「それって、本当に治らないの」
「治すものではないし、治らないよ」


また、ため息をつく母。母は普段、滅多にため息をつかない。
うつむいたまま、感情を整理しているように見えた。


「でも、エイズになるんじゃないの? 
男同士で……ほら、そういうことをすると」
母はエイズという病が、感染症ではなく、男同士の性行為が
原因の病だということを信じていた。


「男同士っていうだけで、HIVに感染するわけじゃないよ」
「そう……」また沈黙が流れた。


母が、何か昔の事を思い出している様に思えた。


「私は、まともな子を産んだんだ」
「お母さんの育て方で、僕がゲイになった訳じゃないよ」
「そんなこと思ってない。私のせいだなんて思わない。


ただ……今思い出した。
あんたの婆ちゃん。私の死んだ母さんが、 あんたのこと、
そうだと言ってたわ……あんたがまだ小さい時にね……。
母さんはわかってたんだわ、あんたのこと……。


でも私は、母さんに腹が立った。だから『何でそんな事いうの! 
私は、まともな子を産んだんだ!』って母さんに言ったの……
まともな子を……」母は泣き出してしまった。


苦しそうで、悔しいような泣き方だ。


僕だって悔しい。生まれながらにして、 親を泣かせてしまう
セクシュアリティに生まれてしまった。誰も悪くないはずだ。
母も。僕も。だけど、母も、僕も、涙が止まらなかった。


「私はちゃんとまともな子を産んで、まともに育てた!  
だから私のせいだなんて言われたくない!」
「お母さんのせいじゃないって言ってるの! 


誰のせいでもないんだよ。僕はまともだし、ただ、僕は
同性しか好きになれないってだけ。それだけ! 
それを分かってほしいし、


認めてもらいたかったから言ったの」
「認められるわけがないじゃない、そんなこと!
甘えないで! 無理よ! 私だって、親に自分の性癖なんて
話したことはない!」


「これは性癖なんかじゃない! なんで認めてくれないの!」
「それは無理よ。私は認めたくないし、この世の中だって
認めてない」


「世の中は認めてくれない! だからこそ、まずはお母さん
が認めてくれたら、僕はすごく楽になれる!」
「悪いけど、諦めて。それに、あんたみたいな人に対して、
社会は厳しいに決まってる。


だからそのことは、誰にも言わずに生きていきなさい。
墓場まで隠し通すの。わかった?」


「それは無理だね!  なんで、社会のせいで、僕が隠れて
生きなきゃならないの!」


「あんたが傷つかないようにと思って言ってるの! 
社会からどんな目で見られるか、あんたはその怖さが
わかってない! 傷つくのはあんたなの!」


「僕はこれまでも、お母さんの知らないところでイヤと言う
ほど傷つけられてきた!今までずっと耐えてきたの! 


でも僕が一番辛かったのは、暴言や暴力を受けた事じゃない! 
自分で自分を殺したいほど、 自分のことが大嫌いだったこと。
それが一番辛かった! 


でもやっと、この歳で自分を受け入れられるように
なってきたの!だからお母さんにも受け入れてもらいたいだけ! 
社会に受け入れられる前に、 まずはお母さんに受け入れて
もらいたいの!」


「受け入れられるわけがないよ、それは無理。
そんなこと、なんで私に言ったの。嫌な気持ちになる! 
そんな話をされて、喜ぶ人はいないでしょ。


あんたの友達だってそんなこと言われたら、みんな嫌な
気持ちになる! 少しは相手の気持ちを考えなさいよ!」


「今まで誰にも言えずに一人で抱えて生きてきたよ。
20年間も! またそう生きろと言うの!」


「みんなイヤな気持ちになるだけでしょ!私だって今すごく辛い!
一人で抱えろとは言わないけど、誰にでも話して良いことで
はないでしょ!」


「本当の自分の事を話したら、みんながイヤな気持ちに
なるなんて、 僕は一体なんなの!人を化け物扱いしないで!」


「大人になりなさい。自分のことばかり考えないで! 
もう話は終わり」


空が明るくなっていた。母は朝ごはんの仕度を始め、
僕は自分の部屋に戻り布団に入った。


何時間寝ただろう。お母さんが部屋に入ってきた音で目を
覚ました僕は、うまく目が開かないことから、顔が腫れて
しまっているのだと察しがついたが、母も同じように泣き
腫らした顔をしていた。


父と妹はどこかに出かけたようだ。
「あんたが……良輔が、辛かったね」
母の腫れた目からまた涙が溢れた。


どうやら僕の涙も枯れてはいないようだ。
「辛かったよ。でも、僕はもう大丈夫だから。
お母さんにまで辛い思いをさせて、ごめんね」


「私よりもあんたが……良輔が辛かっただろうなって、
思ってさ」


「僕は今、幸せだよ。だけど、こんな風に、自分を認められる
ようになるまで20年かかったんだ。だからお母さんもきっと、
僕がゲイだということを認めるのには、時間がかかるよね」


「そうだね、わかってやりたいけど、 難しいわ。何年もかかる
かもしれないし、一生わかってやれないかもしれない。だけど、
あんたに対する想いは変わらないから」


「ありがとう。安心した。巻き込んでごめんね。でもあまり
悩まないでね。悩まれると僕も辛いから」


「悩むさそりゃ。でも北海道と東京で、離れて住んでるんだから、
あんたは自由にやりなさい。


でも、申し訳ないけど、あんたの、そのことに関しては、もう
言ってこないで。あんたが、どんな人と付き合おうと、なにが
あろうと、 私には言わないで。


私とあんたは、母と息子、それだけ。それ以外のことは
知りたくないから」「でも、いつでも応援してるからね」


母との間に空いた“穴”は、7年間埋まらなかった
母はこう言ってくれたのだけど、母へのカミングアウトは、
失敗だったように思えてならなかった。


言えばスッキリするものだと思っていたが、そうはならない
どころか、 カミングアウトしたことを後悔すらした。


なんだか気まずい距離ができたように感じたし、母に説得され、
父へのカミングアウトは断念せざるを得なかった。


母曰く、父は絶対、縁を切ると言い出すと言うのだ。
僕自身は縁を切られるのも覚悟の上で父に話したかったが、
それでは間に立たされる母がまた辛い想いをする羽目になる。


それならばと、僕は父へのカミングアウトを断念したのだ。
母と僕の間に、なんとなく空いてしまった穴は、この後
7年もの間、埋まる事はなかった。 !・…







もともと虚弱体質だった妻は、子供が産める身体では
なかったのだと思う。私はそれを理解してそれでも結婚した
つもりだった。


ある日、妻が妊娠を告げた。私は妻の身体を守りたかった。
しかし妻は、これが最初で最後の機会だから私の子供を
産ませて欲しいといった。素直に、嬉しかった。


大変な妊娠期間だった。
それでもいろんな人の助けを借りて分娩までかぎつけた。
もちろん付き添った。


しかし、途中で急に医師から退室するように言われた。
その後医師から聞かされたのは、子供の命を救えなかった
こと。そして、妻と最後の会話を交わして欲しいという
ことだった。


確かに、覚悟していた結果だったのかも知れない。
なんとか泣かずに妻の横に立てた。


「やっぱり私は母親にはなれないみたい。
でも、マキのこと、私の生まれ変わりだと思って、
大切にして欲しい。


勝手に名前決めてごめんね。あなたの文字を一文字
もらいました」


私は、どうしても妻に、マキがこの世に産まれてこれなかった
ことを告げられなかった。


勘のいい妻だった。いつも私の嘘を見破っていた。
「わかった。俺がお前の分もマキを幸せにしたる」
私が言えたのはたったこれだけだった。


妻は、にこっと微笑んだ。
そして、今までありがとう、マキをお願い、
そんなことを言って眠った。


妻は、私の嘘にきっと気づいたのだろうな、と思う。
最期くらい気づかなければいいのにと、幸せなまま、
逝ってくれたらよかったのにと。


マキ…妻はいったいどんな漢字を当てるつもりだった
のだろう。聞きたかった。



愛されないということは不運であり、
 愛さないということは不幸である。
時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる・・・・






×

非ログインユーザーとして返信する