妄想劇場・流れ雲のブログ

趣味の、自己満ブログです。人生は、振り返ることは出来ても、後戻りは出来ない…掲載内容に問題がある場合は、お手数ですが ご連絡下さい。 迅速に対応させていただきます。

妄想劇場・森羅万象













全国に35か所ある高度救命救急センターの1つ、
杏林大学病院です。


脳卒中や心肺停止など、年間1,700人を超す重症患者を
受け入れる命のとりでに今、異変が起きています。


医師
「わかります?目を開けて。」
この日、搬送されてきたのは、自殺を図った30代の
シングルマザー。


病院では、医療だけでは解決できない社会的な問題を抱える
患者が増えていると言います。特に深刻なのが、女性たちです。


午後9時半。
意識が混濁した22歳の女性が搬送されてきました。
精神科で処方された薬を50錠ほどのんだと言います。
オーバードーズと言われる薬の過剰摂取です。





医師
「薬、何時にのんだの?」
医師が取りかかったのは、胃の中を洗浄する処置です。
流し込んでいるのは活性炭と下剤を混ぜたもの。
薬を吸着させて体の外へと排出させます。


処方薬や市販の鎮痛剤などを、決められた量を超えて
のむオーバードーズ。


病院に運ばれる重症患者の1割近くを占め、
そのほとんどが女性です。
2時間ほどの処置を終え、女性の容体は安定しました。


22歳 女性
「今回は本当に死のうと思って、持っている薬を全部のんだ。」


杏林大学病院 高度救命救急センター 宮方基行医師
「社会的な弱者として扱われてしまう人たちを見て
もらえる施設が少ない。


その中でどこにも行けないので、当院のような救命
センターが最後の受け皿にならざるを得ない。」


なぜ、若い女性たちがオーバードーズに走るのか


知人からの119番通報によって搬送されてきた
橋本美咲さん(仮名)、21歳です。
30錠ほどの薬をのんで自宅で倒れていました。


「何が一番大変だった?」
橋本美咲さん(仮名)「さみしいのと、しんどくなったり
仕事に行けなくなったのがつらかった。」


橋本さんは四国から上京し、飲食店で働きながら1人
暮らしをしていたと言います。
橋本さんの状態がまだ不安定なため、病院は実家の
両親に迎えに来るよう依頼しました。


「(親に)命の危険、死んでしまうというぐらい直接的に
包み隠さずに言ったけれど、もう知りませんと言われた。」


橋本さんが自宅に戻りたいと強く希望したため、
病院はやむをえず、以前働いていたという飲食店の店長
に連絡を取りました。


杏林大学病院 高度救命救急センター 鈴木準医師
「こちらとしては頼れるのが店長さんしかいらっしゃらなくて。
明日の13時にお待ちしておりますので、よろしく
お願いします。よかった。」・・・


翌日。飲食店の店長が迎えに来ました。
知り合って1年にも満たない相手を頼るしかないのが
橋本さんの現実です。


「寒いので気をつけて。」
自宅に戻った橋本さんが打ち明けてくれたのは、
幼い頃から両親に虐待されていたという過去でした。


橋本美咲さん(仮名)
「母親がうつ病で、父親が無関心で、ちっちゃい頃から
夜中に外に放り出されたりして。家の前の時もあるし、
車でよくわからない所に降ろされる時も。そんな
思い出ばっかりです。」


高校中退後、両親から逃れるように上京した橋本さん。
街で出会った男性の家を転々としながら過ごしてきました。
両親とのつらい記憶が今でもたびたびよみがえり、精神的
に不安定な状態が続いていると言います。


橋本美咲さん(仮名)
「薬をいっぱいためていて、これを全部のんだらいつでも
死ねるんだと思っている時の方が楽に生きられます。」


オーバードーズに走る女性たち。


幼少期に虐待や性被害を受けたケースが少なくないと
専門家は指摘します。


病院側にとってもオーバードーズの患者は大きな負担
となっています。医療費が払えないケースや繰り返し
搬送されるケースが少なくないからです。


病院では、こうした社会的な問題を抱えた患者への対応
に乗り出しています。全国でも数少ない救命救急センター
専属の医療ソーシャルワーカーを配置しました。


医療ソーシャルワーカー 加藤雅江さん
オーバードーズで運ばれてきた女性たちに地域の
病院やクリニックを探します。
「明日、女性のベッドに動きあります?
薬のんで来ちゃっているんですけれど。」


さらに、女性たちを保健所や福祉事務所などとつなぎ、
継続的なサポートが受けられるようにしています。
病院が直面している問題は、オーバードーズに
とどまりません。


その1つがパートナーからの暴力・DVです。


今、DVは全国的にも増加の一途をたどっています。
(2014年)、ついに5万9,000件を超えました。


彼氏から殴られ、首を絞められた。
パートナーから頭突きされ鼻の骨を骨折。
しかし、DV被害を女性たちみずから訴えるケースは少なく、
表面化しにくいと加藤さんは言います。


「搬送されたときには階段からの転落で腹部を打ったと
言っていたが、看護師の方で聞き取りした中で、
実はDVなんですと。(実際の)件数としては多い。」


救命救急センターに搬送されて初めてDVが発覚する
ケースも少なくありません。そのときは、すでに手遅れで
命を落としてしまう女性もいるのです。


女性たちの中には、経済的な苦境に追い込まれている
人も少なくありません。


自殺を図り、搬送されてきた鈴木直美さん(仮名)、
47歳です。自宅で首をつっているところを隣人に発見され、
一命を取り留めました。


鈴木直美さん(仮名)
「いずれは自分も年老いて、家族がいるわけじゃないので
1人でって思うと、もうあと何日も生きられないなって。」


都内のアパートで1人暮らしをしている鈴木さん。
病院に駆けつけたのは、5年ぶりに会う姉です。


鈴木さんが命を絶つまでに追い詰められていたことを
全く知りませんでした。


なぜ鈴木さんは自殺を図ろうとしたのか。
日本料理の店でパートとして働いてきた鈴木さん。
職場の人間関係に悩み、体調を崩したと言います。


仕事を辞めざるをえなくなり蓄えも底をつきました。
「行政に支援を求めたりは?」


鈴木直美さん(仮名)
「税金もきちんと納めていないのに、自分が税金の
お世話になるわけにはいかなかった。
声を上げる方が勇気がいるかもしれない。
自分が弱いから逃げた。」



「こうなる前にもっと早く一言あれば、手を打つこともできた
と思うので、どうしてって気持ちはありました。」


鈴木直美さん(仮名)「(姉には)家庭もあるし家族が
いるから、できればなるべく(頼りたくない)。」


自殺未遂の背後にあった鈴木さんの経済的な問題。
どう解決するのか。病院は、精神的なケアを受けながら
行政の支援を利用するよう勧めました。


病院に運ばれてくる女性たちは、行政の支援からこぼれ
落ちていることが少なくありません。病院では行政にも
情報提供を行うなど、積極的な働きかけを行っています。


今日も救命センターには、1人苦しむ女性が運ばれてきます。
200錠もの薬をのんで搬送されてきた20代の女性。


20代 女性
「虐待されていた。両親から殴られたり、蹴られたりしてた。」
命の危機に陥って、ようやく社会とつながる女性たち。
助けてという声を、誰がどう受け止めればいいのか。
救急医療の現場だけでは越えられない壁です。・・・・・









ぼくはカバが大好きである。カバもぼくが好きである。
ぼくがキリンを飼っていたら、もう少しスマートだったかな


(現在ぼくの体重は70キロ)という気がしないでもないが、
ほかの人から「西山さん、カバに似てるね。」なんて言われると、
わけもなくうれしくなるのだからしかたがない。


飼育係となって30年、カバとのつき合いは、うちの家内
とのつき合いより長い。


いつもおどかされ、教えられ、新しい発見の連続だった。
ぼくは、最近つくづくカバと出会えてほんとうによかったと思う。


「そんなことを考えるようでは、西山さん、あんたも年だね。」
こんな声が聞こえないでもないが、カバこそぼくの人生、
ぼくはまさしくホモ・ヒポポタマス(カバ的人間)である。       


デカオのふるさとはアフリカのケニアである。
首都ナイロビの北30マイルの所にある。ジュジャという町
の川で捕えられた。


その辺りは、池といわず沼といわず、小さな水たまりまで
カバでいっぱいのカバ天国らしい。


用心深いカバを生け捕るのに、さんざん知恵をしぼった
人間たちは、川の近くに特別のさくを作ることを考えついた。


一方からのぞくと、向こうの側に通り抜けられるように見える
さくで、中にカバの好物の牧草が点々としいてあるのだ。


それでもカバは、最初は入り口まで来て引き返し、
次の日は2、3歩さくの中に入り、といった調子で下見
を続け、大きな体が、すっぽりさくの中に入ってしまうには、
何日もかかるらしい。


デカオもこんなふうにして捕えられたのだが、これと同じ
ようなことが、動物園での引っ越しの時に起こった。


ずっと前に、デカオを新しいカバ舎に移すことになった時
のことである。大きな木の箱を作って中にえさを入れ、
デカオを誘いこもうとしたことがあった。


仲良しのぼくがついていたにもかかわらず、デカオが箱に
入るのに、なんと10日間もかかったのである。       


デカオとのつき合いで、ぼくがいちばんおどろき、
かつ困らされたのは、彼がカバ舎のあちこちにうんちを
まき散らすことであった。


どういうわけか雄のカバは、水から上がってふんをする。
あの短い尻尾を左右にふりながら、プッ、プッ、プッと
だしていくのだからたまらない。


カバ舎は、壁から天井までうんちだらけ。掃除するぼくは、
雌のカバ舎の何十倍かの労力を使って毎日ごしごしやる
わけで、いやになるというよりも「よくぞここまで飛ぶものだ。」
とあきれ返ってしまったものだ。


言うまでもなく、ふんこそは、すべての動物(人間もだよ)
の健康のバロメーターである。快食であれば健康である
のは言うまでもない。


それゆえ、われわれ飼育係は、せっせと仕事に励んで
いるわけだ。





昔々、神様が地球上の動物だちを一堂に集めて、すみかを
決めた時のこと。


でぶで動きの鈍いカバは、その集まりにすっかりおくれて
しまった。やっと神様の前に出て「あたしは太っているから
水の中にすませてください。」と願い出ると、


神様は「おまえはでかいし、水の中にすむことになった
ほかの動物たちのじゃまになろう。」と首をかしげられた。


しかし、あんまりカバがたのむので、かわいそうになった
神様は、ほかの動物を傷つけたりしないと約束するなら
という条件で、水の中にすむことをお許しなった。


カバ君は、ウンチの時には必ず水から陸(おか)に上がり、
「神様、ほらごらんください。あたしゃ魚など全然食べて
いませんよ。」とうんちをまき散らして、身の潔白を証明し
続けているのだというのだ。


ぼくは、あのカバのうんちから、こんなにすてきな話を作り
上げた現地の人たちの優しい心根にはほとほと感心した。       


つき合いが長かったせいか、ぼくはカバに対して、多少
身びいき的なところがあって、みんなバカだバカだという
カバも「いや、なかなかりこうだよ。」と断言している一人
なのである。


だいぶ前、ザブコというカバが死んだことがあった。
このカバは戦後初めてアフリカから日本に来たカバで、
入園以来、17年余りもぼくが苦楽を共にしてきた仲であった。


サンゴの肥立ちが悪くてとうとう糖尿病にかかり、死んで
しまったのだが、そのザブコを解剖した時のことである。


体重205キロ(これは闘病生活で、ふつうのカバの半分
にやせていたため。)、腸の長さ42メートル、また胃は
単胃であることがわかった。


肝臓はなんと24キロ、心臓10キロと、その図体に全く
ふさわしいものであった。


皮膚の厚さはというと、胸部は皮下脂肪を入れて5.5センチ、
しりの部分では8.2センチもあり、ザブコの場合、特別長い
注射針を使用したものの、やはり筋肉まで液体が届かず、
それも死因の一つになったということがわかった。


ところで、ザブコの脳は、おどろいたことに他の部分の
偉大さに比べ、たった6百グラムしかなかったのである。
そして、多ければ多いほどよしとされているしわが、全くなく、
まるで豆腐の表面のようにのっぺりしていた。


それを見たえらい解剖学の先生がたが「西山さん、
カバはやっぱりバカですよ。」と言ってゲタゲタ笑い出した時、
ぼくがどんなに腹が立ったか。


なるほど、脳重6百グラムといえば、生後2、3カ月の
人間の赤ちゃんの脳重とほぼ同じである。そしてカバは
人間のように話すこともできなければ、難しい計算もできない。


そういう比べ方をすると、バカと言われてもしかたがない
かもしれない。だが、しかしである。そのカバの脳みそを
前に大笑いをしている人間は、ぼくに言わせれば、そのほう
がよっぽどバカに見えた。       


ぼくはカバのお産が始まると、短い時で二十日間、
長いと一か月、湿気の多いカバ舎にふとんを持ちこんで、
食事以外は人間と接触を断ち、「いつ生むか」と朝から
晩までカバのおしりを見てくらすのである。


おもしろいもので、そういう生活が続くと自分の感情まで
カバそっくりになってしまうのか、二つのカバ舎の中間の
通路に寝ているぼくは、一つのほうで「ブブブー」「ブブブー」
と夜鳴きが始まり、


次々カバが連鎖反応を起こして鳴き声をあげていく時など、
右から左に伝えるのに、真ん中のぼくがだまっていたのでは
伝わらないのではないかという気になって、つい「ブブブー」
と言ってしまったこともあった。


カバのお産でおもしろいのは、カバがしっぽから生れるか
頭から生れるか、わからないことである。


ぼくの体験によれば、しっぽからが六回、頭からが六回、
どっちからかよくわからなかったのが六回ある。


ほかの陸生ほ乳類では、ライオンでもキリンやサイでも
頭から生れるのが正常とされているが、カバの場合は
全くカバ流と言えよう。


お産をしたあと、カバは、子供をいつも目の届く頭の周りに
置いておく。後ろにいたのでは首が回らないため危険
だからである。


そして子カバが水中に入ると、親もいっしょに水の中に
入って子を守る。これが野生のカバの習性であった。


ところが、上野動物園で育った二代目の江戸っ子カバは、
子カバが水に入っても、自分は水に入らない。


「あれ、どうするつもりかな。」興味を持ったぼくは、
彼女の行動をじっと見ていた。


すると、口いっぱいにえさの干し草をくわえてきて、せっせと
子カバのいる水の中に落とし始めたのだ。


子カバは、水に浮いた草にかくれて、目と鼻だけがちょんと、
水の中からのぞいている。


「そうか、こいつ、こういう方法で、子供を守るつもりか。」
ぼくは、すごいなあと心に叫んだ。


なんて細やかな愛情だろう。カバにめためたにほれて、
彼らのやることなすことなんでもよく見えて困るぼくだけど、
この時もまた、じいんとまぶたが熱くなってしまったのだ。






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