妄想劇場・流れ雲のブログ

趣味の、自己満ブログです。人生は、振り返ることは出来ても、後戻りは出来ない…掲載内容に問題がある場合は、お手数ですが ご連絡下さい。 迅速に対応させていただきます。

韓信 [シリーズ] 砂漠を行き、草原を駈ける・城下の策謀家







アングラ小説です、不快感がある方は、読むのを中断して
下さいメジャーでは無いけど、 こんな小説あっても、
良いかな・・・






紀元前104年、長安の遊民であった李広利は突如大宛攻略
の命を皇帝から受けた。大宛とは西域の果てにある
未知の国。そこに たどり着くまでには天まで届く山脈、
さまよえる湖、広大な砂漠、果てしない草原……


さまざまな障害が彼の前に立ちふさがる。そこに生きる
人々との出会いは 希望に満ちたものか、それとも幻滅か
  ・・・


韓信 [シリーズ]
砂漠を行き、草原を駈ける ・城下の策謀家



焉耆の館に滞在すること七日目のことである。
李淑は神妙な面持ちで李広利に面会を求めた。


「烏塁は新しくできた城ということもあり、私は好きなように
振る舞うことが出来ましたが、焉耆はかなり古くから
ある国です。王もいれば、普段だと匈奴の兵もいます。


私は館をこれ以上大きく出来ませんでしたし、日常に
用いる品の蓄えもあまり多くありません。出来ればご協力
いただきたいのですが」


李広利はこれを強要のように捉えたようである。
どうやって李淑の要請を断るか、内容を聞く前にそのこと
を考えたようであった。


「我々に何をせよというのだ」つっけんどんな言い方であり、
表情もその通りであったが、李淑はそれを無視して
話を進めた。


「あなた方に提供できる食料が底をつきかけているのです。
この国ではあまり貨幣が流通しておりませんから、
食料を得るためには何かを交換しなければなりません。
つまり、あなた方の武具や兵器を提供していただきたい
のです」


そら、きたぞ。「李淑よ。それがどういうことかわかって
言っているのか。我々にとって、武器は命に等しい。
なぜなら、我々は他ならぬ軍隊だからだ。


武器を持たぬ兵団など、どこの世界にもないだろう。
そうではないか?」


「すべてを供出せよ、とは申しておりませぬ。ごく一部
でいいのです。例えば……西域の兵隊の多くは弓矢を
用いますが、弩どを使う文化はありませんので、供出して
いただければ良い条件で取引できるでしょう」


「相手が用いない武器だからこそ、我々にとっては貴重
なのだ。李淑は我々を破滅させる気か」


「しかし、食糧が手に入らなければ、行き着くところは
死です。軍隊が破滅するより根本的な問題だと思いますが」


「いや、違う方法を考えてもらいたいものだな。
言っておくが、これは君のためでもあるのだぞ。
もともと漢へ帰るために我が軍と行動を共にすることを
選んだのは君自身だ。


軍事力がなければ君を庇護することが不可能になる」
「もはや、その軍事力も必要ありません。その段階は
とうに過ぎました。なぜなら、西域には匈奴がいなく
なったのですから」


李淑の言動は非常に白々しいものであった。裏で何かを
企みながら、言葉巧みに軍を無力化する意図が
見え隠れする。


「ここの食糧が尽きかけているのであれば、早々にここ
を立ち去り、次の目的地に向かえばいいだろう。
もう私はそうするつもりだ」李広利がそのように告げたとき、
李淑の顔には多少の焦りの色が浮かんだ。


「焦ってはなりません。この冬空の下では夜営は不可能ですし、
作物が育たなくなる時期には盗賊も増えるものです。
もう少し慎重なご判断を」


「武器があればこそ盗賊にも対応できる。だからこそ供出
はしないのだ。君こそ、もっとましな案を持ってくることだ。
とにかく武具を供出することはしない」
李淑はこのとき即座に返答せず、退出した。


その夜。私は李広利に事態が急変したことを告げねば
ならなかった。「イルシとコウカスコの二人が逐電したようです」
李広利はしかし驚く様子を見せず、落ち着いた口調で
指示をよこした。


「全員に、密かに武装するよう指示を。
王恢どのも鎧兜に身を固めよ。
火矢を浴びせられても落ち着いて対応できるように……。


私は李淑の部屋を訪ねることにする」
「訪ねてどうするというのです?」
「酒でも酌み交わそうかと思う。まだ在庫はあるだろう。
店主に給仕させるから呼んでくれ」


李広利は李淑の意図を読み、それを阻もうとして
いるのだろう。そう感じた私は、同行する必要を感じた。


「私もお供します」一度身につけかけた鎧を脱ぎ捨て、
李広利と共に部屋を出た。その途中で店主を呼び止め、
酒を用意させる。


その道中で李広利は自らの思うところを語ってくれた。
「李淑は最後の瞬間まで動くまい。我々に疑われないよう、
悠然とした態度で臨むだろう。


だが、彼には死んでもらう。館の周囲を匈奴兵が取り
囲んだとき、その矢面に立ってもらうつもりだ」


やがて李広利と私は押し入るように李淑の居室内へと
歩を進めた。さすがに驚いた様子の李淑は、しどろもどろ
になってこれに対応した。


「い、いったいどうしたというのです。こんな夜更けに」
李広利は笑みを浮かべながらこれに応じた。
「なに、今夜は冷えるから酒でも飲もうと相手を探して
いたのだ。まあ、座るがいい」


李淑は不承不承といった様子で腰を下ろした。
李広利が先に述べた悠然とした態度とは違うが、やはり
時間を稼ごうとしている意図は見て取れた。


「珍しいこともあるものだ。将軍が私を相手に酒を
お飲みになるとは。将軍は私のことをお疑いになっている
ものと思っていました」


「君がその身にかけられた疑いを晴らすための機会を与え
ようと思ったのだ。もっとも、そのつもりがないというのであれば、
私ひとりで飲むだけだが」


そう言って李広利は李淑の盃に酒を注ぎ、飲むよう促した。
が、李淑はそれを飲まなかった。


「申し訳ないのですが、これから私は出かけなくてはなりません。
それも急ぎの用事なのです」


李広利は結局一人で酒を飲んでいたが、不意に脅迫めいた
口調でそれを咎めた。


「急ぎの用事とは、イルシとコウカスコの二人に合流することか。
君らが裏でつながっていることはすでに確認が取れているのだ。
真実を話せ」


しかし李淑はしらを切った。「そのような者たちと私とは、
何の関係もございません。きっと、将軍の勘違いでござい
ましょう。


仮にその者たちと私が共謀したとして、何が出来るとお考え
なのでしょうか。この非才たる身、何も出来やしません」


李淑の発言は白々しいものであったが、李広利はそれに
激怒したりはしなかった。


「では、急ぐこともあるまい。今夜の要件が何か知らぬが、
他ならぬ私が誘っているのだ。夜通し付き合ってもらおう」
「困ります。どうしても外せない用件があるので……。


将軍のお誘いには感謝いたしますが……」
「おかしいではないか。このような夜更けに。焉耆の
王でさえも就寝する時間だ。……


貴様の企みはすでに明らかだ。王恢どの、こやつに
縄をかけよ」私は、その言を受けて李淑の体を縄で縛った。


そのとき室内の明かり取りの窓から、複数の火矢が
夜空に放たれた様子が目に入った。


……













ぼーっとするゴキブリ  


他の昆虫やクモ類などを捕らえて巣に持ち帰り、自分の
子どものエサにするハチは「狩りバチ」と呼ばれます。


これらのハチは、獲物を持ち帰る際、一発の毒で獲物を
仮死状態にして巣に持ち帰ります。つまり、お持ち帰り
できる大きさの獲物を狙います。  


しかし、エメラルドゴキブリバチの獲物は自分の体よりも
何倍も大きいワモンゴキブリです。


仮死状態になってしまったら、自分の力では巣に持ち帰る
ことができません。そのために、仮死状態にはせず、
より複雑な毒を組み合わせて、獲物を自分の足で歩か
せるのです。  



ゴキブリは麻酔から覚めると何事もなかったように
起き上がります。ほぼ無傷で元気に生きてはいます。


しかし、1回目の毒を注入された時と違い、もう暴れたり
逃げようとしたりはしません。


それは、逃避反射を制御する神経細胞に毒を送り
込まれているからです。 逃げる気を失ってしまった
ゴキブリはまるでハチの言いなりの奴隷です。


ゴキブリは自分の足で歩くこともできますし、普段通りの
身づくろいなど自分の身の回りのことをすることもできます。
ただし動きが明らかに鈍く、自らの意志ではほとんど
動きません。  


このように2回毒を注入されたゴキブリは約72時間、
遊泳能力や侵害反射が著しく低下しますが、一方で
飛翔能力や反転能力は損なわれていないことが研究
により明らかとなっています。


大事な触角が!  


ただ、ぼーっと突っ立っているゴキブリを見ると、エメラルド
ゴキブリバチは、さらに、ゴキブリに酷いことをします。
ゴキブリの触角を2本とも半分だけ噛み切るのです。  


ゴキブリの触角は、人間の想像以上に大切な器官です。
この触角を頼りに生活しているといっても過言ではありません。


まず、この触角で障害物を察知しています。
触角に感じる風の動きや刺激によって、障害物があるのか
ないのかを認識し、それによって自分の進む方向を決め
ています。また、エサを探すときにも触角を使います。


あの長い触角をフリフリさせて、エサを察知します。  
そんな大切なゴキブリの触角をエメラルドゴキブリバチは
容赦なく真ん中から切り落とします。


切り落とされた触角からは当然、ゴキブリの体液が溢れます。
ハチはこの体液を吸う行動を見せます。  


この行動はハチが単に自分の体液を補充するため、
あるいはゴキブリに注入した毒の量を調節するためで
あると考えられています。


毒が多すぎるとゴキブリが死んでしまい、また少なすぎても
逃げられてしまうからです。  この脳に対する毒の注入と、
それによる行動の制御は、まさに人間でおこなわれた
“ロボトミー手術”のようです。


人間で実際におこなわれていた恐ろしい脳手術  
脳の前頭葉の一部を切除あるいは破壊するロボトミー手術は、
1935年にアントニオ・デ・エガス・モーニスという神経学者が
考案した療法です。


興奮しやすい精神病患者や自殺癖のある鬱病患者にこの
手術をおこなうと、感情の起伏がなくなり、おとなしくなりました。  
そのため、この手術が精神疾患に絶大な効果があるとされ、
この手術の開発の功績によってモーニスはノーベル賞を
受けています。


そして、その後、20年以上世界で大流行し、日本でも1975年
までおこなわれていました。  


ロボトミー手術は「脳を切り取る手術」のため、頭蓋骨に穴を
あけて長いメスで前頭葉を切る方法や、眼窩からアイスピック
状の器具を打ち込み、神経繊維の切断をするといった方法
がとられました。


しかし、1950年代に入ると、この手術の恐ろしさが徐々に
明るみに出てきます。ロボトミー手術を受けた患者は、
知覚、知性、感情といった人間らしさが無くなっているという
後遺症が次々と報告されました。


そして、1960年代には人権思想の高まりもあってほとんど
おこなわれなくなりました。    


日本では1942年に初めておこなわれ、第二次世界大戦中
および戦後しばらく、主に統合失調症患者を対象として各地
で施行されました。


その間に日本でも3万人から10万人以上の人が手術を
受けたと言われています。  


さらに、日本では、このロボトミー手術を受けた患者が、
自分の同意のないまま手術をおこなった医師の家族を、
復讐と称して殺害した事件まで起きています。


犬の散歩ならぬゴキブリの散歩  


ロボトミー手術のようなことをされたゴキブリは、逃げる気を
失い、触角を半分切り取られてもぼんやりとしており、
本来の機敏さもありません。


そして、エメラルドゴキブリバチがゴキブリの触角をちょい
ちょいと引っ張ると、その方向にゴキブリは歩いていきます。
まるで犬の散歩のようです。


そして、ハチの促すままにある場所へと自分の足で歩いて
いきます。


着いた場所は、真っ暗な地中の巣穴です。これはエメラルド
ゴキブリバチの母親が、自分の子どもを育てる場所として
事前に作っておいた巣です。


ゴキブリは自分の足で歩いて巣穴の奥深くに到着すると、
長径2ミリほどのエメラルドゴキブリバチの卵を肢に産み
付けられます。その間もゴキブリはじっとしています。


卵を産み付け終わると、ハチは地中の巣から自分だけ
外に出ます。そして、外側から、巣穴の入り口を土で覆います。


これは、自分の卵とその卵を産み付けられたゴキブリが
他の捕食者に見つからないようにするためです。そして、
ハチは次の産卵のために、またゴキブリを探しに
飛び立ちます。  


閉じ込められたゴキブリはというと、巣穴の出入り口を
塞がれても、相変わらず巣の中でおとなしく待っています。


何を待っているのか。それは、もちろん、ハチの子が
卵から出てくるのを、です。


体を食い荒らされてもなお生きる  


ハチの子が卵から孵かえるまでは3日間程度あります。
その間も、ゴキブリは肢の根元についている卵をくっつけた
まま、静かに自分の身づくろいなどをして過ごしています。


やがて、エメラルドゴキブリバチの幼虫が卵から孵ると、
ハチの子どもはゴキブリの体に穴を開けゴキブリの体内に
侵入していきます。  


ゴキブリはもちろん生きていますし、そしてある程度自由に
動き回れる力も残っていますが、なんの抵抗も示しません。  
そして、その後の約8日もの間、ゴキブリは生き続けたまま、
ハチの子どもに自分の内臓を食されます。


生きたまま食すのには理由があります。このエメラルド
ゴキブリバチの幼虫は死肉ではなく新鮮な肉から栄養を
摂取したいのです。


そのため、自分が蛹になって肉を食べなくなるぎりぎりの
時期までゴキブリを生かすように食べ進めます。


死んでもまだ役に立つゴキブリ  


ゴキブリの内臓をたっぷりと食べたエメラルドゴキブリ
バチの幼虫は、ゴキブリの体内で大きくなり、やがて蛹
になります。


そして、ゴキブリはハチの子どもが蛹になって体を食べなく
なると、 その使命を果たし終わり、ひっそりと息を引き
取ります。  


しかし、内臓が空っぽになったゴキブリにもまだ役割は
あります。内臓は空っぽですが、外側はゴキブリ
そのものです。


昆虫は外骨格といって、外側の殻が最も固く、 内臓や筋肉
を守っています。エメラルドゴキブリバチはゴキブリの
殻の中で蛹になります。


ハチの子どもは蛹の間の4週間、動けず完全に無防備な
状態です。その間をこのゴキブリの固い亡骸で守って
もらっているのです。  


そして、ハチの幼虫が蛹になって4週間後、成虫となった
エメラルドゴキブリバチは、ゴキブリの亡骸を突き破り、
美しいエメラルド色の姿で飛び出してきます。


エメラルドゴキブリバチの成虫の寿命は数カ月あります。
そして、ハチのメスがゴキブリに数十個という卵を産み付ける
には1回の交尾で十分なのです。  


衛生害虫としても問題になるゴキブリをエメラルドゴキブリ
バチにどんどん狩ってもらえばいいのでは? 


1941年、エメラルドゴキブリバチはゴキブリの生物的防除を
目的としてハワイに導入されました。結果はというと、残念
ながらゴキブリ防除には期待していたほど効果があり
ませんでした。  


また1匹あたりで数十個という卵しか産まないため、ゴキブリ
の繁殖力に比べると歯が立ちませんでした。


日本にもいるゴキブリを狩るハチ  


エメラルドゴキブリバチは日本には生息していませんが、
近縁の2種類のセナガアナバチ属がいます。
セナガアナバチミツバセナガアナバチです。


日本産の2種はエメラルドゴキブリバチよりもやや小ぶりで、
体長は15~18ミリ程度です。  


セナガアナバチは本州の愛知県以南、四国、九州、対馬、
種子島に、ミツバセナガアナバチはさらに南方の、 奄美大島、
石垣島、西表島に生息しています。  


この2種はエメラルドゴキブリバチ同様、体色は金属光沢を
持ったエメラルド色で、クロゴキブリ、ワモンゴキブリなどを
幼虫のエサとすることが知られています。


・・・





×

非ログインユーザーとして返信する